日本は経済的に豊かで技術面も進歩しており、便利で快適な生活を送ることができています。しかしその一方で、多くのストレスに晒されており、誰もがストレスを感じやすい環境で生活していることから「ストレス社会」と呼ばれるようになりました。
では、現状はどうなっているのか、厚生労働省が実施した国民生活基礎調査のデータから見ていきましょう。
まずは若い世代からです。19歳くらいまでは進学などの教育問題に、20代は就職や結婚などにストレスを感じることが多いようです。
30代になると仕事の経験値が増えることもあり、仕事に対してストレスを抱えている人は20代ほど多くありません。しかし、結婚や育児などでライフスタイルが変化する年代でもあるため家計や収入、育児などにストレスを感じる人が多いようです。
育児に余裕が出てくるのは大体40代頃でしょう。子どもに手がかからなくなるため育児に対するストレスが減少していますが、仕事に対するストレスを感じる人が増加しています。40代は働き盛りといわれる年代です。管理職として采配を振るうようになるため、20代などの若い世代に比べると抱えるストレスも多いのでしょう。
ストレス社会で一番厳しいといわれているのが50代です。なぜなら仕事はもちろん、家計や収入、家族や健康などほとんどの項目を網羅しているからです。
60代以降はどうでしょうか。60代は定年を迎える年齢で人生の総括も考えていく世代です。身体の不調を感じやすくなり、介護や病気に対してストレスを抱えている人が他の年代よりも多くなっています。
要因として考えられるのは、共働き世帯が増加し親子間のコミュニケーションが不足することでストレスを抱える子どもが増えていること、インターネットが発達し気軽にコミュニケーションが取れるSNSに依存し振り回される人が多いことなどが考えられます。
それに格差の拡大もあります。現在の日本は雇用形態が多様化しています。正社員ではなくパートやアルバイト、派遣として働く人も珍しいことではなくなりました。しかし、老後の生活のことを考えると待遇面が手厚い正社員の方が安心できるため、正社員としての雇用を希望する人も多いのですが、経済が停滞していることもあり必ずしも希望が叶うとはいえない状況です。また、段階的ですが年金の支給年齢も繰り下げられているため、老後について不安を感じている人も少なくありません。先の見えない状況に不安を感じてネガティブに考えてしまい、ストレスを溜めてしまう人が増えているのです。
ストレスなどが原因で体調を崩した人を専門的に治療する心療内科ではカウンセリングを重視しています。現代はストレス社会と呼ばれるほど多くのストレスに晒されています。これを受けて心療内科の社会的なニーズも高まっています。
一人で解決しようと頑張ることがかえって逆効果になってしまい、状態が悪化してしまう場合もあります。無理に頑張るのではなく誰かに相談するのも有効な方法です。家族や友人、メンタルケアの専門家の意見も聞いてみましょう。
嫌なことや苦しいことがあると精神的に大きな負担がかかるためそれをストレスだと思っている人がいますが、正しくは外側からかけられた圧力によって生じる歪みのことです。ストレスには悪いストレスと良いストレスの2種類あります。