嫌なことや苦しいことが自分の身に起こると精神的に大きな負担がかかります。それをストレスと連想する人がいますが、ストレスとは外側からかけられた圧力によって生じる歪みのことです。外側からの圧力は精神的な負担だけではありません。天候や騒音などの環境的な負担、病気や睡眠不足などからくる身体的な負担、人間関係や仕事に対する悩みといった社会的な負担などもあります。さらにそのようなネガティブなものだけではなく、進学や就職、結婚や出産といったうれしいことや楽しいこともそうです。「日常生活の中で起こる変化がストレスの原因となる」ということを理解しておきましょう。
今では当たり前のように「ストレス」という言葉を使用していますが、元々は物理学で外側からの圧力による物質の歪みのことを意味する言葉でした。カナダの生物学者ハンス・セリエ博士が1936年にストレス学説を発表したことをきっかけに医学の世界でも広まるようになりました。
外側からの圧力によって生じる歪みのことを指すストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があります。圧力によって生じた歪みが夢や目標につながるポジティブなものだったり、自分を奮い立たせたり、元気づけてくれたりするものであればそれは良いストレスです。なぜなら、これらは今後の人生において必要なことだからです。逆に、疲れや不安、心身の不調をもたらすものであればそれは悪いストレスです。
日常生活における様々なことがストレスになるといわれています。その中でも何に対してストレスに感じているのか、代表例を紹介します。
1つ目は「人間関係」です。人とのやり取りは職場やプライベートなど様々なところで発生します。その際に自分の思い通りにならないことや認識のずれなどから嫌なストレスを感じてしまう人が多いようです。
2つ目は「仕事に対して」です。残業が多い、休日がほとんど取れない、責任が重い、期日が迫った仕事を任せられている、などにストレスを感じているようです。また、仕事にやりがいを感じない、自由な時間が多いといった状態の人もストレスを感じています。
3つ目は「睡眠不足」です。睡眠不足が続くと体調を崩したり、集中力が低下したりと心身に大きな影響を与えます。睡眠不足がきっかけで不眠症を発症する恐れもあります。
4つ目は「自身の性格によるもの」です。真面目な人や完璧主義、短気な人や緊張しやすい人はストレスを感じやすいといわれています。自分の意思や感情を素直に表現できず不満を溜め込みやすいためストレスも敏感に感じてしまうのでしょう。
ストレスなどが原因で体調を崩した人を専門的に治療する心療内科ではカウンセリングを重視しています。現代はストレス社会と呼ばれるほど多くのストレスに晒されています。これを受けて心療内科の社会的なニーズも高まっています。
一人で解決しようと頑張ることがかえって逆効果になってしまい、状態が悪化してしまう場合もあります。無理に頑張るのではなく誰かに相談するのも有効な方法です。家族や友人、メンタルケアの専門家の意見も聞いてみましょう。
嫌なことや苦しいことがあると精神的に大きな負担がかかるためそれをストレスだと思っている人がいますが、正しくは外側からかけられた圧力によって生じる歪みのことです。ストレスには悪いストレスと良いストレスの2種類あります。